俺様ドクターに捕獲されました
「だって、友達と遊ぶほうが楽しいもん! もう、優ちゃんなんて大嫌い!」
まだ彼の恐ろしさをよく理解していなかった私が怒りに任せてそう叫ぶと、彼の顔色が変わった。
それを見て、なにかまずいことを口にしてしまったと後悔してももう遅い。
「お前、誰に逆らってんだよ。大嫌いって、もう一度言ってみろ。二度とそんな口が聞けないくらい泣かせてやる」
そのときの彼の顔を、私はいまだに忘れられない。軽いトラウマになるほど恐ろしい鬼の形相でキレられた私は、あまりの恐ろしさに百回くらい「ごめんなさい」と謝り、さらに二百回くらい「大好き」と言わされた。
そして、二度と彼に逆らわないことを約束させられたのだ。
その頃からだ。私を自分のもののように扱うようなったのは。
「お前のものは、俺のもの。だから、りいは俺のものだ」
そんな某アニメの登場人物のようなことを公言していたあの人は、私が他の友人と、特に異性と仲良くすることが嫌いだった。
通っていた小学校では、あの人のことを知らない人はいなかったから、『あの宇佐美優のお気に入り』と腫れ物のように扱われていた。
男子には恐れられ、女子には睨まれ、親しい友達がひとりもできなかった。