俺様ドクターに捕獲されました
「うぅ、胃が痛い」
菊池先生の宣戦布告から三週間。
私は、ストレスのあまり体調を崩していた。あの日から日に日に食欲が落ち、一週間ほど前からついに食事か喉を通らなくなった。
ここのところ毎日胃薬のお世話になっているが、今日はあまり効果がない。
あれから時間があくと彼のことを考えてしまい、ボーッとしてしまうことも増えた。今日は特に体調が悪くて、佳乃さんにも心配されて仕事を早退してきてしまった。
もう迷わないと何度自分に言い聞かせても、本当にそれでいいのかとグルグル考えてしまう。
彼のことは信じているし、愛されているとも思う。夜中に起こされるのだって、少しでも触れ合いたいと思ってくれているからだと思うとうれしくてたまらない。
だけど、最近はそれもない。
家に帰ってくる時間が大幅に減った彼が、菊池先生とは会っているのかなとか、よからぬことばかり考えてしまう。それから、彼を信じきれない自分に腹が立って自己嫌悪に陥る。
そのサイクルをここ最近は、毎日のように繰り返している。
布団をかぶり、広いベッドの端で身体を丸めて、波のように押し寄せる痛みに必死に耐える。
なんだか、ひどく孤独だ。一緒に暮らしているはずなのに、彼がとても遠く感じる。耐えきれずこぼれた涙が、枕を濡らしていく。