俺様ドクターに捕獲されました


「優ちゃん?」

「……なんでもない。胃は、大丈夫か? 見たところ胃炎だな。風邪の症状はないし、りいは刺激の強いものはあんまり食べないから、そっちでもないな。ストレス性の可能性が高いけど……俺のせいか?」


彼のせい……と言われればそうだが、うなずくわけにもいかずに彼の胸に頬を擦りよせる。それをどうとったのか、彼の手が私の頭をなでた。


「今まで悪かったな。お詫びというわけではないけど、ようやくバタバタが落ち着きそうなんだ。今度、デートするか?」


ん? 今度、デート……デート!?


「する!」


勢いよく顔を上げると、ククッと低い笑いを漏らした彼が頭をなでてくれる。


「食いつきがいいな。俺が予定たてるから、楽しみにしてろよ。で、体調、早く治せ」

「うん、治す」


ぎゅうっと彼に抱きついて、コクコクとうなずく。私もなかなか現金だ。


彼のぬくもりに包まれるだけで、今まで悩んでいたことなんて全部吹き飛んでしまう。


「優ちゃん」

「ん?」

「……好き」

「ああ、俺も。りい、好きだ」


頬を両手で包まれて顔を上げると、彼の冷たい唇が私の唇が重なった。それがうれしくて、もっと感じたくて、離れようとする彼に自分から唇を重ねる。

< 166 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop