俺様ドクターに捕獲されました
「優ちゃん?」
「……なんでもない。胃は、大丈夫か? 見たところ胃炎だな。風邪の症状はないし、りいは刺激の強いものはあんまり食べないから、そっちでもないな。ストレス性の可能性が高いけど……俺のせいか?」
彼のせい……と言われればそうだが、うなずくわけにもいかずに彼の胸に頬を擦りよせる。それをどうとったのか、彼の手が私の頭をなでた。
「今まで悪かったな。お詫びというわけではないけど、ようやくバタバタが落ち着きそうなんだ。今度、デートするか?」
ん? 今度、デート……デート!?
「する!」
勢いよく顔を上げると、ククッと低い笑いを漏らした彼が頭をなでてくれる。
「食いつきがいいな。俺が予定たてるから、楽しみにしてろよ。で、体調、早く治せ」
「うん、治す」
ぎゅうっと彼に抱きついて、コクコクとうなずく。私もなかなか現金だ。
彼のぬくもりに包まれるだけで、今まで悩んでいたことなんて全部吹き飛んでしまう。
「優ちゃん」
「ん?」
「……好き」
「ああ、俺も。りい、好きだ」
頬を両手で包まれて顔を上げると、彼の冷たい唇が私の唇が重なった。それがうれしくて、もっと感じたくて、離れようとする彼に自分から唇を重ねる。