俺様ドクターに捕獲されました
それからふいに我に帰って、悶えながら頭を抱えた。
うわぁ、なんかすごく大胆なことしてしまった。私、自分から彼のこと誘ってた。ずるいこと考えちゃった。
身体が繋がれば、この不安もなくなるだろう、なんて。私との初めてを、彼は大事にしてくれているというのが伝わってきているのに。
「やっぱり、別れるなんてできない」
彼から、もう逃げないって決めたんだ。それに、もう後戻りできないほどに彼を好きになってしまった。日を追うごとに彼のことを好きになっている。
「優ちゃん……。私のこと、ちゃんと捕まえてて」
あなたが望んでくれるなら、私はあなたの手を離さないから。例え、なにがあっても、だから……。
「優ちゃん」
震えた声が、静かな空間に消えていく。彼と触れあったことで消えていた不安が、またジワジワと湧き上がってくる。
だけど、いつまでも後ろ向きでいたくない。それを無理やり押さえ込んで、幸せなことを考えようと努力する。
彼が誘ってくれたデート。私にとって、人生で初めてのデートだ。いったい、どこに連れて行ってくれるのだろう。
ショッピングかな、映画かな。不健康な彼だから、少し日光浴をさせたい気もする。お弁当を持って公園でのんびりするのもいいかもしれない。
そういうのも、これから全部できればいいな。
まだ少し痛む胃を庇うように身を丸めて、そんな幸せな未来を描きながら眠りについた。