俺様ドクターに捕獲されました
そして私は、中学生になった。
私は、新しい生活にワクワクしていた。なにせ、暴君は卒業していてここにはいない。他の小学校の子は、彼のことを知らないはず。
今度こそ友達を作ろうと、私は張り切っていた。
その結果、親しい友人が何人かできたが、なぜか仲良くなった男の子にはある日、突然避けられるという謎の現象が続いた。
その理由がわかったのは、中学一年生の冬。忘れもしない、バレンタイン。
私は、ひとりの男の子から、「チョコが欲しい」とお願いされていた。
多分、好意を持たれていたし、私もその子に好意を持っていたからチョコを渡すつもりでいた。
そして、バレンタイン当日。
兄には、友チョコだとごまかして作ったチョコを持って、ドキドキしながら放課後を迎えた。
その男の子と一緒に帰る約束をしていた私は、待ち合わせ場所である校門のところにできている人だかりに驚いて足を止めた。
そして、その中心に立っていた人物を見て息が止まった。そこにいたのは、高校の制服である紺色のブレザーを着た、ふたりの暴君。
立ち尽くす私に気づいたそのうちのひとりが、ニヤリと笑った。言うまでもなく、宇佐美優その人だ。