俺様ドクターに捕獲されました
一番奥にあるベッドルームに入ると、ふたつ並んだキングサイズのベッドの片方にはバラの花びらでハートが描いてある。
「わっ! かわいい!」
「予約のときにプロポーズするって伝えてあったから。ベタだけど、本当はここでするつもりだったんだ。……まさか、尊の家になるとは。まあ、りいを嫁にできたからもういいけど」
「でも、うれしい! 待って、待って。写真撮っときたい」
年甲斐もなくはじゃぎながら携帯で写真を撮る私を、彼が背中から抱きしめてくる。
「俺もさすがに今日、入籍するつもりはなかったんだけどな。りいを今すぐ嫁にしないとまた逃げられたら敵わないからな。ま、結婚してくれてありがとうってことで。気に入った?」
「うん、もちろん! ありがとう、優ちゃん」
こんなの、うれしくないわけがない。満面の笑顔で彼を振り返って、もう一度ベッドを見た私はハートの中心に白い封筒が置かれていることに気がついた。
不思議に思いながらそれを手にとると、中から出てきたのは遊園地のチケットだった。びっくりしてそれを見つめていると、彼がそれを私の手から取り上げる。
「りい、デートで遊園地に行くのが夢って言ってただろ? 明日、連れてってやろうと思ってたんだけど……無理かもな」