俺様ドクターに捕獲されました
そして、高校進学。
勝手に家庭教師をかってでた彼に勉強を教わり(超スパルタで何回も泣いた)、なかば強制的に彼が卒業した高校に入学した。
その入学式の日。あのバレンタインと同様、その高校でもいろんな意味で有名だった彼に、「こいつは俺のもの」宣言を大勢のギャラリーの前でされたのだ。
その頃には私ももうあきらめの境地に達していて、もうされるがままだった。
中学時代と違ったのは、彼に憧れる先輩方に呼び出されるようになったことか。だけど、それも一瞬でなくなった。きっとまた彼がなにかしたのだろう。
どうやら高校にも、彼のスパイがいたらしい。
そんなわけで、彼と過ごした高校を卒業するまでの十八年間は私にとって、友達もできないとても辛くて孤独な暗黒時代だった。
私に多くのトラウマを植えつけた彼に、私が反旗を翻したのは大学進学のとき。
中学のときと同様、スパルタな家庭教師を受けていた私は、彼と同じ大学の看護学部に進学する予定だった。
それを私は、彼に内緒で進路を変え、他県の女子大に進学した。一向に緩む気配のない、彼の支配から逃げ出したのだ。
それから今日までの十年間、彼とは一度も会っていない。