俺様ドクターに捕獲されました
「……なるほど、そうきたか。まあ、いいや。じゃ、早速頼むな。どうぞ、天野サン?」


ニヤリと笑った彼に目で促されて、部屋の中に足を踏み入れる。彼のテリトリーに入ってしまったことで、緊張が高まる。


ビクビクしながらリビングに通された私は、目の前に広がる光景に思わず目を見開いた。


な、なにここ。高級なマンションだとは思っていたけど、モデルルーム?


何畳あるのってくらい広い部屋に、黒と茶色で統一されたインテリア。カーテンのかかっていない大きな窓の外には見事な夜景。


私が逃げ出したときは医大生だったから、当然のように医者になったんだろうな。大病院の跡継ぎ息子だもんね。


「あの、いつもどこで施術を?」


私が放り出した商売道具の入った鞄を受け取りながら聞くと、彼は少し考えるような仕草を見せた。


「……ベッドだな」


なに、その間。すごく怪しいんですが。だが、今は彼の指示に従おう。


寝室に入ると、これまた私のワンルームのアパートより確実に広い部屋にどでかいベッドがドーンと置かれている。

ここでやるのかと、確認しようとした私は視界に映った彼の姿に驚愕して一歩後ずさった。


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