俺様ドクターに捕獲されました
「もう少し、下にきてもらえませんか?」
ベッドの端に足がくるようにしてほしいと足元に移動しながらお願いするが、彼は微動だにしない。
「疲れすぎて動くの億劫なんで、ベッドに上がってもらえます?」
「……わかりました。失礼します」
絶対嘘だとわかっているが、なんとなくセラピストとしての自分を試されているような気がして、道具の入った鞄を持ってベッドに上がる。
「では、準備しますので。失礼します」
黒いスウェットのズボンの裾を膝まであげて、ベッドが汚れないようにバスタオルを敷く。
だけど、この体勢だと力がうまくいれられなくて私が疲れそうだ。
「少し足を持ち上げてもいいですか?」
「どうぞ」
顎の下で腕を組んで、いまだにこちらをニヤニヤしながら見ている彼に許可を得て自分の太股にバスタオルを敷いて足を乗せる。
浮いてしまった膝裏にも丸めたバスタオルをいれて、彼の足裏を見た私はぎょっとした。
「体勢、辛くないですか? 大分お疲れのようですね」
「平気。ここのところ、激務だったからな。症例報告と論文まとめたり、長時間のオペもあったから。昨日は当直だったしな」
「そうですか……」
それにしても、ひどくない?