俺様ドクターに捕獲されました
「そんなに怯えんなよ。本当に、りいはかわいいな」
腰に回ったたくましい腕が、ぐっと腹部を圧迫する。身の危険を感じて暴れる私にものともせず、彼は私をがんじがらめに拘束した。
そういえば、この人はいろんな格闘技やっていた。そんな人に、素人の私がどう足掻いても敵うわけがない。
「暴れるんじゃねぇよ。どうせもう逃げられねぇんだから、あきらめろ」
そうだけど、そうなんだけど。これからどんな目に合うのかを想像するだけで恐ろしくて悪あがきをせずにはいられない。
「……っとに。素直になれば少しは優しくしてやったのに、よっぽど俺にいじめられたいんだな」
「ぎゃあ!!」
彼に拘束されながらも、必死にもがいていた私は、突然、襲った浮遊感に悲鳴をあげた。
な、なに? なにがどうなったの?
パニックになっているあいだに、目の前にあった玄関がすごい勢いで遠ざかっていく。どうやら、彼に米俵のように担がれているらしい。
「う、宇佐美様、お、下ろしてください!」
「下ろすわけないだろ。なんだよ、その呼び方。腹立つな」
私を抱えたまま部屋の中をズンズン進んでいく彼の目的地は、先ほど私が決死の思いで脱出した寝室。
あっけなくそこに戻されてしまったことに絶望し、泣きそうになる私を、彼はベッドに放り投げた。