俺様ドクターに捕獲されました


「わっ!」


ぽん、ベッドの投げ出され、思わずぎゅっと目をつむる。ベッドのスプリングのおかげで痛みはないが、それなりに衝撃はある。


その衝撃で、私物の鞄の中身がベッドの上に散らばった。


「りい、お前……覚悟はできてんだろうなぁ」


散らばってしまった鞄の中身に気を取られていた私は、ベッドに上がり私ににじり寄ってきた彼にひっ、と小さく悲鳴をあげた。


そんな私を見て、ひどく楽しげに笑った彼が、大きな手をこちら伸ばしてくる。


も、もしかして、殴られる?


本能的な恐怖から目を閉じて、ぎゅっと身体を縮こませる。ビクビクと震える私の上に、大きなため息が降ってきた。


「……お前な、俺のことなんだと思ってんの? いくらなんでも、女は殴らねぇよ」


彼が離れていく気配がして、目を開けた私は慌てて身体を起こした。


「これ、人質な」


ニヤッと笑った彼が手に持っているのは、私の携帯、財布、自宅の鍵。


「あ、返して!」

「返すわけないだろ。人質なんだから」

それをクローゼットの奥にしまった彼が、再びベッドに上がり私に近づいてくる。シーツの上を必死に逃げるが、すぐに逃げ場はなくなった。

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