俺様ドクターに捕獲されました
ベッドフレームに背中がぶつかって、私の顔の横に彼の腕がつく。
「そんな怯えた顔するなよ。ただでさえ興奮してるうえに、俺はお前のそういう顔が大好物だ」
怖いくらいに整った顔が、ゆっくりと焦らすように近づいてくる。
「もっと、めちゃくちゃに泣かせてやりたくなる」
ふっと笑った彼の吐息が、唇に触れる。ニッと笑った彼が、悪魔に見えた。ひゅっと、喉の奥が鳴ったのと唇に柔らかい感触が触れたのはほぼ同時だった。
「……んっ!」
キスされている、と自覚したのは柔らかくて濡れたなにがが口の中に入ってきたとき。私より体温の低いそれが、舌に絡みついてきた。
逃げても、逃げても、それは執拗に追いかけてきて私の舌を捕まえる。
腕で胸を押し返すが、ビクともしないうえに簡単に押さえつけられてしまう。顔を逸らして逃げようとすると、顎を掴まれて戻された。
「ん、いや。離し……て、おねが……」
終わらないキスから逃げたくて、涙目で必死に懇願する私に彼は目を細める。獰猛なライオンのようなその目に、ゾクリと背中が震えた。
「ダメだ。お前が逃げる気がなくなるまでするからな。別に初めてでもないんだから、いいだろ」
「よくないよ! さっき、セラピストには手を出さないって言ったのに。嘘つき!」