俺様ドクターに捕獲されました
「お前は俺のものなんだよ。なのに、他の男にチョコなんて渡そうとしやがって。まあ、これでお前に手を出そうなんて奴もいなくなるだろ。いい見せしめにはなったな」
「……優ちゃん、なにしたの?」
「別に。りいが俺のものだって、教えてやっただけ。だからお前も、自覚しろよ」
その瞬間、空気が変わった気がした。私の背中に手を回した彼が、身を屈めて顔を近づけてくる。
私はそれをバカみたいに見つめていて、気づいたときには彼の唇が私の唇を塞いでいた。
離れたかったのに、目を開いたままの彼に射抜くように見つめられて身動きがとれなくなる。
何度も繰り返される触れるだけのキスは、チョコの味がした。その柔らかさも、甘さも、いまだによく覚えている。
「りい、お前は……誰のもの?」
私を覗き込む漆黒の瞳には、有無を言わせない強さがあった。それに魅入られるように、勝手に口が動く。
「……優ちゃん、の」
「ん、いい子。尊には、これ内緒にしろよ。バレたら殺される。りい、あと六年……六年経ったらお前のことを全部俺のものにするからな。それまでは、これで我慢する。これも違反だけど、バレなきゃいいだろ。俺以外と、絶対にこういうことはするなよ」
約束だぞ、と念を押されて、もう一度キスをされる。
それからは、隙があれば彼はキスをしてくるようになり、それをされるたびに私の胸はズキズキと痛んだ。