俺様ドクターに捕獲されました
おかげで、二十八歳にもなって、恋愛経験ゼロといううれしくない称号を手にしてしまっている。
「だろうな。尊とりいも、俺との約束をちゃんと守ってたみたいだな」
「約束?」
「そう。そこは、いい子だな。なあ、りい……なんで俺から逃げた?」
彼の手が服の上から私の脇腹をなぞり、白衣のファスナーに手をかけた。
「え、やっ! なにして……」
「なにって、副脱がせようとしてる。嫌なら、早く答えろよ。俺が気が長いほうじゃないのは、りいも知ってるだろ?」
必死にファスナーを下ろそうとする手を掴んで抵抗するが、散々キスされて力の入らない身体では敵うはずもない。
ジリジリと下に落ちていくそれに、泣きそうになる。
だけどーー。
「……言いたくない。絶対、言わない」
ふいっと顔を背けると、すぐに顎を掴まれて戻される。無表情に私を見下ろしていた彼が、ふっと口元を緩めた。
「……ふうん。そういう態度とるのか。あんなに教え込んでやったのに、忘れちまったみたいだなぁ」
凄みを感じるほど、綺麗に笑った彼の目がギラリと輝く。あまりの恐怖にブルブル震える私に、彼はぐっと顔を近づけた。