俺様ドクターに捕獲されました
「もう一度、しつけ直さないといけないみたいだな、りい。お前が誰のものなのか。一度、逃げられてるからな。今度は首輪でもつけとくか」
く、首輪……。
そんなことは冗談だろうと思うのだが、彼の顔はいたって真剣だ。むしろ、妙案だとでもいうように私の、首をなでている。
「あ、そうだ。いいこと思いついた」
目が合った瞬間に、悪寒がした。ニヤニヤしている彼を見て、嫌な予感しかしない。
きっと彼にとっての“いいこと”は、私にとってはよくないことだ。
「さっき、医者の不養生だとかなんとか言ってたよな。俺がこんな身体になったのはお前のせいだから、責任とれ」
「は!? わ、私のせいって……。な、なんで? 意味わかんない」
「いや、確実にお前のせい。りいが逃げなかったら、こんな不健康な身体にはなっていなかったはずだ。俺の人生設計狂わせまくってるんだからな、責任とってもらわないとな」
そう言った彼は、私に覆いかぶさったまま携帯電話を手にしてどこかに電話をかけ始めた。
「あ、ご無沙汰してます。宇佐美です……そうです、優です。里衣子さんのことなんですが……」
え、なに? どこに電話しているの?
なんとなく、まずい方向にことが進んでいる気がする。その証拠に、さっきから悪寒が止まらない。