俺様ドクターに捕獲されました
「ええ、そうなんです。十年も会ってもらえなかったので、僕としても舞い上がってる部分があって。なるべく一緒にいたいというか……ありがとうございます。もちろん、責任はとりますから。……ははっ、じゃあ、改めて挨拶に行きますので」
電話を切った彼は、怯える私をひどく満足げな顔で見下ろした。
「かわいいな、りい。お前のその怯えた顔を、これから毎日見れると思うとたまんないな」
「は? ま、毎日?」
意味がわからずに目を丸くする私の頰を手の甲でなでた彼が、赤い舌で唇を舐めた。
すごく色っぽい仕草なのだが、とても怖い。ご馳走を前にしたライオンが舌舐めずりをしているように見えて、身体がブルブルと震えてくる。
「お前の親の了承は得た。りい、今日からここで暮らせ。それで、俺のことを毎日、癒せ」
「はあ!? 暮らせって、な、な、なにそれ! そんなこと親が許すわけ」
「許したぞ、あっさりな。ま、これも俺の人徳のなせるわざだな」
そういえば、うちの親にはやたら愛想がよかった。親も彼のことをやたら気に入っていて、いまだに帰るたびに「優ちゃんに会っていないのか」と聞かれている。