俺様ドクターに捕獲されました


「な、なに笑って……」

『あー、笑いすぎて腹痛い。再会して数時間で同棲に持ち込まれるとか、お前どんだけチョロいんだよ』

「チョ、チョロくな……ひゃっ!」


いきなり耳を噛まれて、彼の顔を睨むと今度は頰にキスされる。


「勝手にやってるから、気にするな。いいのか、助けを求めなくて」


クスクスと笑いながらキスの位置をずらされて、背中がゾクゾクと震える。


なに、この人。昔から色っぽくはあったけど、今はフェロモン垂れ流し状態なんですが。


「ほら、早くしないと全部食っちまうぞ」


ペロッと唇に舐めて、本当に食べるみたいに口を開けた彼に、私はいろいろな意味で限界を迎えた。


「た、助けて! お兄ちゃん! なんか、優ちゃんがエロ魔神なの!」

『ぶはっ! おま、もうベッドに連れ込まれてんのかよ。相手が優とはいえ、チョロすぎだろ』


壮絶な色気にあてられて、涙目で叫んだ私の救いを求める訴えは、再び笑い飛ばされてしまった。


「連れ込まれてないもん! ベッドで施術してたんだもん!」

『連れ込まれてんだろ。そんなもん、別のところでもやれたよな。ま、結果はたいして変わんなかったと思うけど。もう、運命だと思ってあきらめるんだな』

「な、助けてくれないの? 今まで散々、人の恋路を邪魔しといて」

< 43 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop