俺様ドクターに捕獲されました
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次の日、私は彼の実家である高台東病院に来ていた。
都心から離れ、車で約三十分。都心と郊外のよさを併せ持つここが、私たちの生まれた街だ。
その名の通り、街を見渡せる高台にあるこの病院は、地元の人なら誰でも一度はかかったことのある大病院だ。
現医院長である、彼のお父さんが四代目。私も兄もこの病院で産まれ、地元を離れるまでのかかりつけ医もここだった。
「優ちゃんて、本当に医者だったんだね」
白衣に着替えてきた彼にそう言うと、不愉快そうに眉をひそめられる。
スクラブといわれる首元がVネックになっている医療用の服の上に白衣を羽織っている姿は、いかにも外科医という出で立ちだ。
「どういう意味だよ。なんなら、胃カメラやってやろうか? 俺、うまいぞ」
「いや、遠慮します。胃の調子はすこぶる良好なので」
そんな会話をしながら馴染みのある建物を彼に着いて歩いて行くと、すぐに院長室に通された。
中に入ると、彼のお父さんである院長先生と数人の年配の人たちに出迎えられる。
「いやぁ、久しぶりだな、里衣子ちゃん。綺麗になって、見違えたよ」
「ご無沙汰してます。おじさんも、お元気そうで」