俺様ドクターに捕獲されました
理学療法士さんて、どうしてなのか、こういう爽やかなスポーツマンて感じの人が多いよね。
「本当に宇佐美先生の婚約者なんですか?」
そんなことを考えていた私は、その唐突な質問に菅谷先生にそういうことにしておいたほうがいいと忠告されていたことを忘れて首を横に振った。
「い、いえ。そういうわけでは。宇佐美先生とは、幼なじみなんです」
「あ、そうなんですか? じゃあってわけではないんですが、今日リハ室の飲み会があるんですよ。看護師さんも何人か来るし。良かったら、来ません?」
「えぇ? 飲み会ですか? でも、私なんかが行ったら場が盛り下がっちゃうんじゃないですかね」
苦笑いをしながら、田村さんが乗った車椅子を押す井坂さんに続いて廊下に出る。
「そんなことないですよ。俺の彼女、ここの病棟の看護師なんですけど、天野さんと話してみたいって言ってますから。他にも何人かそういう人いるんで、天野さん来たら喜びますよ。冷たくしちゃった分、きっかけが掴めないみたいですよ」
それって、少しは認めてもらえてるってことかな。そうだったらすごくうれしいな。じんわりと心が温かくなって、喜びを隠しきれず笑みが零れる。
「うわ。天野さん、笑うとさらにかわいいですね。いつも難しい顔してたから、あんまり笑わない人なのかと思ってました」
「あー……ずっと気を張っていたので。でも今、うれしいこと聞けたから」