俺様ドクターに捕獲されました
プルプルと小さく震える私を見て、彼は口元に笑みを浮かべた。
長い指が頬をなで、ネックレスの鎖をなぞる。
首を覆うように顎を掴まれて、ゾクッと肌が粟立った。
どうしよう、すごく怖い……。
逃げ出したくてたまらなくて、身をよじる私の耳に、彼は唇を寄せてきた。
「ずいぶん仲よさそうに話してたな。なに、話してた? 俺には院内では話しかけるなって言ったのに、他の男と楽しそうに」
身体の芯に響くような低い声にビクンと身体が震える。顔を背けようとするが、それは許されず強い力で顔を引き戻された。
「頬を染めて、あんなふうに無防備な顔で笑って。俺には、ずっとあんな顔見せないくせに」
「んっ!」
突然、唇を塞がれて驚いて目を見開く。唇を塞いだまま、私を見つめる彼の瞳の奥で炎が蠢いている。
「りいは、なにもわかってない。俺がどれだけ我慢してるか、恐れてるか。なにも……。なあ、りい。お前は俺のものだろ? 忘れた?」
唇を触れ合わせたまま呟かれた言葉の意味を考える間もなく、口の中に舌が入ってくる。
「んっ、優ちゃ……やっ」
ここは死角になっている場所だが、いつ誰が来てもおかしくない場所だ。
誰かに見られたらと彼の胸を押し返すが、ビクともしてくれない。それどころか、キスは激しさを増していく。
「ふっ……ぅ……んっ」
徐々に思考が霞んでいき、身体から力が抜けていく。