空高く、舞い上がれっ。
「お前はわたしに不運でも訪れろと言いたいのか‼」

「そんなのやだッ‼」

寝ころんで肘を付いているわたしの肩を寧音がおおげさに揺するので、わたしもおおげさに揺れてみた。

「でも……教室じゃほとんど話せないから」

体育館のステージ側にバスケットボールをしている男子達の姿が見える。寧音は急にムクッ、と起き上がった。

「歩舞は話せないんじゃなくて、話さないんじゃないの?」

ふと、目線をバスケから寧音に変えると少しふくれ顔をした寧音がいる。

「え……?は、話そうとしてるよ?寧音だって……いま、わたしのこと絶好調だって言ったじゃん?」

いきなりの態度と言葉の変わりように、わたしは少し動揺した。

「ん~ッ、そうなんだけどッ、なんて言えばいいのかなぁ……歩舞って、積極性がないと思う‼」

は?

「チャンスあるのに自分からアタックしないともったいないっていうか……ん~」

寧音の言いたい事がわからない……

「意味わかんないし……」

冷たく言い放って、しまったと一瞬胸が痛んだけど、わたしへの不満が収まらないような寧音の態度を見るとやっぱりイラッとして。なんだか微妙な間になってしまった。

昼休みもそのままのテンションになってしまい、ふたりの間に挟まれてご飯を食べることになってしまった咲は少し戸惑っているように見えた。
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