空高く、舞い上がれっ。
左右を確認して道路の向こうへわたる。

なんで!?なにしてるの?
久しぶりに見た顔に気持ちが高ぶり、自然と顔がゆるむ。

“元気にしてた?”
“まだ吹奏楽やってる?”

一年ぶりの懐かしさにたくさんの言葉が出てきた。

「お前は相変わらずうるせぇな」

「譲治は相変わらずガリガリじゃん」

ガリガリとか言うなっつーの。と、腕の筋肉を見せようとする譲治の姿が笑えた。

わたしの中学時代は、寧音と尊、そして譲治の4人でつるんでいる時間が一番長かったと思う。
当時、背が高くてがっちりした尊とは違い譲治は無駄な肉がなくほっそりしていて背はわたしと変わらない程度だった。

「でも背は伸びたね‼尊くらいはあるんじゃない!?」

「そこまではねぇよ。でも高校入って結構伸びたかも。中学ん時に伸びろって感じだよな」

尊と寧音はどうよ?と聞く譲治。その名前に元の世界へ戻された気がした。
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