空高く、舞い上がれっ。
教室の真ん中の席に陣を取りお弁当を広げている集団のもとへわたしは向かう。

「お‼悪いな、ありがと」

両手を伸ばして喜ぶ輝空くんを見ると《満腹感は幸福感‼》の一言を思い出す。

周りの男子が熱いネェ‼と、ちゃかしを入れるので輝空くんは、ちげぇよッ。と笑ってわたしの手を引いて廊下に出た。
輝空くんの左手に繋がれた右手。わたしがドキドキしてしまうことを知っていてわざとやっているの?と、言ってみたい。

少し涼んだ廊下には、窓の外を眺めておしゃべりをする女の子たち。仲良く雑誌を読んでいるカップル。
昼休みの雰囲気はのどかで、どことなく好き。

「今日から部活休みになったんだ」

「え‼なんで?」

いいなぁ~。と羨ましがったわたしに

「お前さー、テスト前だからどこの部活もそろそろ停止期間だと思うよ?」

やっぱりバカだなぁー。と、輝空くんは上から目線でからかう。こんな輝空くんも好き‼って言ったら、また寧音たちにバカにされるんだろうな。

「……じゃあ、わたしと遊んで‼」

「あ、でもテスト前は野球部で勉強会あるから……」

なんだよー‼この思わせぶり男‼そう言おうとしたけど……

「ちょっと遅くなるけど待てる?」

わたしの怒りはその一言で晴れたのでやめておいた。
< 145 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop