空高く、舞い上がれっ。
輝空くんが、女の子と話をすることにそこまで抵抗はないけど……
輝空くんが、女の子と笑いあっているのは……苦しい。


寧音や咲には、別に気にしてないよ?と言えたとしてもほんとは悲しいんだよ。

こんな自分は小さい女かもしれない。
でも、輝空くんの左隣の席に座ってトランプを選ぶ女の子に苛立つ自分がここにいる。


『そこはわたしの場所だよ‼』

そう言いたいけど、そんなこと言えない……



「ちょっとトイレ行ってくるね」


わざとその集団の近くを通って教室を早歩きで出て行ったのは、楽しそうな輝空くんに少しでもわたしのことを気に止めて欲しかったから。


ほのぼのとした昼休みの廊下に、わたしの惨めな足音は場違いだ。


だいぶ歩いた直線を輝空くんが追いかけてきてくれているようなそんな気がして、振り返ったわたしはただのバカ。


用もないのにトイレに入って、水だけ流して鏡の前で手を洗ったらハンカチがなくてイライラしてきて。

仕方がないからスカートの横をパンパンと叩いて出ていった。
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