空高く、舞い上がれっ。
なんて唐突的な女なんだろう。そう気づいたのは──
「なんでいきなりそうなる?」
学園祭の話し合い中。配られた資料の角をちぎって、折り鶴を作る委員長に笑われてからだった。
「……なんでだろ、急にホタルが思い浮かんだ」
一週間触れあえなくなる前に、わたしは楽しい思い出が欲しかったのかもしれない。
「でも緑森公園のホタル祭りって、もう終わっちゃったんじゃなかった?」
「お祭りはやってないけどー、ホタルだけならいるんじゃない?」
どうだろなー?
椅子に寄りかかって、委員長はシャーペンを指でクルクルと回す。
「そういえば多村と尊ってどうなったの?」
「え?寧音たち?」
あれから、その日の夜に尊が寧音の家まで行き、言い争いをしつつも最終的にお互いが謝って仲直りをしたらしい。
「だったら最初から我慢していれば喧嘩なんてないのにね。そういうところだけはわたし、いただけないな……」
カシャンと、委員長は回していたシャーペンを床に落としてしまいゆっくり拾い上げた。
「そうか?別にそんな感じでもいいんじゃねぇ?」
「え~」
同意が取れなかったわたしは、その話が終わった後もなんだか納得いかなかった。