空高く、舞い上がれっ。

なんて唐突的な女なんだろう。そう気づいたのは──

「なんでいきなりそうなる?」

学園祭の話し合い中。配られた資料の角をちぎって、折り鶴を作る委員長に笑われてからだった。

「……なんでだろ、急にホタルが思い浮かんだ」

一週間触れあえなくなる前に、わたしは楽しい思い出が欲しかったのかもしれない。


「でも緑森公園のホタル祭りって、もう終わっちゃったんじゃなかった?」

「お祭りはやってないけどー、ホタルだけならいるんじゃない?」

どうだろなー?
椅子に寄りかかって、委員長はシャーペンを指でクルクルと回す。

「そういえば多村と尊ってどうなったの?」

「え?寧音たち?」

あれから、その日の夜に尊が寧音の家まで行き、言い争いをしつつも最終的にお互いが謝って仲直りをしたらしい。

「だったら最初から我慢していれば喧嘩なんてないのにね。そういうところだけはわたし、いただけないな……」

カシャンと、委員長は回していたシャーペンを床に落としてしまいゆっくり拾い上げた。

「そうか?別にそんな感じでもいいんじゃねぇ?」

「え~」

同意が取れなかったわたしは、その話が終わった後もなんだか納得いかなかった。
< 162 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop