空高く、舞い上がれっ。
リズミカルな音楽に合わせて、ステージではどこかのクラスの発表が始まったようだ。


「あ……」


その音楽に反応した寧音。
わたしを心配しながらソワソワとし始めた。


あぁ、そうか……


「いいよ」


ステージをチラチラと気にしている寧音にそう言うと、寧音はいいの‼と声を張り上げた。


「でも尊のクラスじゃん」

「今はそれより歩舞だよ……っ」


顔を強張らせる寧音にわたしは微笑んだ。



「お願い。尊を見ていてあげて?」

「でも……」


わたしが立ち上がり手を合わせて頭をさげると、小さく戸惑う寧音。


「ちょっとだけ、一人になってもいいかな?」

「じゃあ……何かあったらすぐ連絡して?」


笑って見せるわたしに、寧音は上目気味にわたしを見つめる。



寧音と別れて外へ出た。

暗い体育館の外は痛いくらい光に満ちていて、太陽の陽射しに溶けてなくなってしまいそう。
いっそ溶けてしまえばいいのに……
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