空高く、舞い上がれっ。


学園祭二日目の体育館、ちらほらと空いた席が見受けられる。昨日、輝空が座っていた場所もその一つ。

ざわざわとした控え室、ステージ発表用の衣装に着替えていた時──

「もう、どーでもいいや」

ボソッ、とそう言った委員長にみんなが注目した。

ふざけんな!?
今更なに諦めてんだよ‼

そんな怒りのざわめきに委員長はあせった顔をする。

「ち、ちげぇよ‼そういう意味じゃなくて……優勝とか、入賞とか……そういうのはもうどうでもいいやって思って……」

もう、楽しめればいいんじゃん?

一瞬、その言葉にしん……となった。

「そうだよね‼なんか……どうでもいいや‼」

ね?歩舞‼
振り向き輝かせた目を見せる寧音。緊張が抜けたような明るい笑顔がその教室に溢れていく。

その空間の中で寧音は小声で、

「輝空くんが頑張ってるんだから……うちらは、輝空くん達の分も笑ってステージ立とうね」

と、わたしの耳元で言った。わたしはうん。と、小さく頷く。
< 202 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop