空高く、舞い上がれっ。
学園祭二日目の体育館、ちらほらと空いた席が見受けられる。昨日、輝空が座っていた場所もその一つ。
ざわざわとした控え室、ステージ発表用の衣装に着替えていた時──
「もう、どーでもいいや」
ボソッ、とそう言った委員長にみんなが注目した。
ふざけんな!?
今更なに諦めてんだよ‼
そんな怒りのざわめきに委員長はあせった顔をする。
「ち、ちげぇよ‼そういう意味じゃなくて……優勝とか、入賞とか……そういうのはもうどうでもいいやって思って……」
もう、楽しめればいいんじゃん?
一瞬、その言葉にしん……となった。
「そうだよね‼なんか……どうでもいいや‼」
ね?歩舞‼
振り向き輝かせた目を見せる寧音。緊張が抜けたような明るい笑顔がその教室に溢れていく。
その空間の中で寧音は小声で、
「輝空くんが頑張ってるんだから……うちらは、輝空くん達の分も笑ってステージ立とうね」
と、わたしの耳元で言った。わたしはうん。と、小さく頷く。