空高く、舞い上がれっ。
学園祭で応援出来なかった一回戦を映したDVDレコーダー。
家で一人テレビをつけてボタンを押す。
ひとつ、大きく息を吐いてから再生ボタンを押した。

相手高校のピッチャーがストライクを決める。息を潜め、食い入るように画面を見ていた。
一回表、0……。まだまだ始まったばかりだが、心のそこから安心した。

テレビにスタメンの一覧が映り、サードのポジションのところには輝空の名前が出ている。

そうか、スタメンに選ばれたんだ……
テレビを通して見た後ろ姿14番の背番号に涙が出た。

何十人といる部員の中でユニフォームをもらう事、それだけでもどんなに凄い事なんだろう。どのくらい頑張ったのかな……
野球に集中したい気持ちが痛いほどわかったよ。

輝空が画面に映った時、心の中でいろんな言葉を投げかける。
わたしはこんなに好きなんだ。きっと、気持ち忘れられないよ……きっと、君を諦められない。
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