空高く、舞い上がれっ。
***
カーテンから入る陽射しが朝を知らせる。
いつもならまだ寝ている時間。
制服を手にとり、ボタンをかけてスカートを履いて赤いリボンをつけて……
階段を下りて台所へ。
朝ご飯はトーストにマーガリンとジャムを。牛乳を一杯飲んで家を出た。
もう通いなれた通学路。
私の横を自転車が通り過ぎる。
同じ高校の制服を着ていて、肩からかけられたエナメルのバックには野球部と書いてあった。あれは──……
「……待って‼」
キィッ──……と、自転車は止まったけれど振り向かない。駆け寄ってもう一度、「……輝空くん」と声をかける。少し間をあけてから振り返った。
「何?」
「……え」
輝空くんは顔をそらしながら問う。
「……」
言葉につまってしまった。
謝らなきゃってずっと思っていたのに、いざ本人を前にして何も言えなかった。
「…‥乗りなよ」
「…‥え?」
下を向いていたわたしが顔をあげると、目が会う。輝空くんは少し憂い顔を見せつつも、小さく微笑んでくれた。
カーテンから入る陽射しが朝を知らせる。
いつもならまだ寝ている時間。
制服を手にとり、ボタンをかけてスカートを履いて赤いリボンをつけて……
階段を下りて台所へ。
朝ご飯はトーストにマーガリンとジャムを。牛乳を一杯飲んで家を出た。
もう通いなれた通学路。
私の横を自転車が通り過ぎる。
同じ高校の制服を着ていて、肩からかけられたエナメルのバックには野球部と書いてあった。あれは──……
「……待って‼」
キィッ──……と、自転車は止まったけれど振り向かない。駆け寄ってもう一度、「……輝空くん」と声をかける。少し間をあけてから振り返った。
「何?」
「……え」
輝空くんは顔をそらしながら問う。
「……」
言葉につまってしまった。
謝らなきゃってずっと思っていたのに、いざ本人を前にして何も言えなかった。
「…‥乗りなよ」
「…‥え?」
下を向いていたわたしが顔をあげると、目が会う。輝空くんは少し憂い顔を見せつつも、小さく微笑んでくれた。