空高く、舞い上がれっ。
愛しいメッセージ
「今日は愛妻弁当なの」
そう言ってお弁当を広げる寧音に、誰が妻なわけよ?と、尋ねると尊が横から顔を出してニコニコしていた。
自称、世界一の料理職人……なのだそうで。
「でも、卵焼きが焦げてるよ」
わたしの批評をスルーして、尊は咲のお弁当の中身を物色し始めた。わざとらしく睨むわたしを見て寧音がケラケラと笑う。
朝の稽古、眠たい授業、笑いあう時間、ゆったりと時間の進む昼休み。放課後の稽古。
二学期が始まってから、わたしは普通の生活リズムを取り戻した。ただ前と違うのは、輝空の隣にいる時間が無くなったこと。
「歩舞は強いよね」
早く新しい出会いあるといいね‼
学校生活を笑って過ごすわたしに、そう言った寧音。一瞬、わたしは止まってしまった。
「モチ‼いつまでも暗くしてなんていらんないもん」
お弁当にふたをしてそれをカバンの中に詰め込む。
「トイレに行ってくるよ」
咲と尊がわたしを見ていることに気づき、サッと立ち上がり廊下に出た。