空高く、舞い上がれっ。
だんだんと帰り始めた生徒達の姿を、わたしは自分の教室の窓から眺めていた。

剣道部の三年生を送る会が午後からあるので、時間まで教室で過ごそうとここにいる。隣には咲が、そんなわたしに付き添ってくれている。


三年間、わたしは関東大会に出場し続けることが出来た。
途中、なかなか成長の出来ない自分と勝てない自分。辛くて辛くてやめたい、と何度も挫折しそうになったけど、その度にわたしの脳裏を影が過ぎるんだ。
あの人も頑張ってるんだから、わたしも頑張らなくちゃ。そう思って今までやってきた──……

窓から入ってきた風に、日焼けしたカーテンはハタハタと舞ってわたしと咲の間に入ってくる。前にもこんなことあったよね。と、そう言ってクスっと笑う咲を見て

『輝空のこと、誰よりも一番知っていたいの』
あの時の自分の言葉を思い出した。


「ねぇ、咲」

「ん?」

「直央は今も秘密、多いの?」

咲は遠くを見つめて、うん。と頷いてから、あぁ……と思い出したかのようにわたしを振り向いた。
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