空高く、舞い上がれっ。
「男の子ってさ……カッコつけながら、成長していくんだよね」

「うん」

わたしの返事を聞いて咲は少し目を大きくしてから和らげて……
「あの時の私の言葉の続き、わかったんだ」と、髪をかきあげて微笑んだ。

『寂しくない……っていったら嘘になる。でも、そうやって……』

そうやって、わたしが見ていないところで悩んで苦しんでひとりで答えを見つけて。
大人に成長していく輝空は、どうしようもないくらい輝いて見えるんだ。


「歩舞は、輝空くんと撮ったの?」

「え?」

「写真だよ。まだ残ってるんでしょ?フィルム」

咲は机に置いておいたカメラを指差してわたしに問う。


「……あるけど、もうずっとしゃべってもないから……」

「今日が最後だよ?」

いいの?と、聞く咲の問いに鼓動が高鳴る。

最後……今日が最後?

「高校卒業したら、会えることなんてあんまりないんだよ?もしかしたら……」

もう会えないかもしれないよ?
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