空高く、舞い上がれっ。
ハァ、と吐く息が白い。
真っ白な山をリフトで登って来たのはいいけど、今からここを下るのかと思うと何か不安。スキーなんて中学校以来だった。

「わたしきっと転びまくりだよ。あっちでソリがしたいゎぁー」

「大丈夫だって‼まぁ~危なかったらあたしが助けてあげるから♪」

スキーのグループは事前にアンケートで実力ごとに分けられて、わたしと寧音はちょうど同じグループになった。

「寧音が助けるって言っても説得力が……」

「なんでよぉーっ。いざと言う時はまかせてって♪」

「じゃぁ、わたしを助ける前に君の旦那を助けてあげなよ」

わたしがほら、と指差すと、え?という顔をして寧音が指差す方を見る。そこには豪快に転倒した様子の尊がいた。
驚いた寧音が大きな声で尊を呼ぶ。それに気付いた尊は、倒れたままこっちに向かって笑顔で手を振っていた。

「バカー‼そんなことしてなくていいから早く立ち上がれ―――っ‼恥ずかしいでしょ――っっ」
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