空高く、舞い上がれっ。


いつもの月曜日、5時起床。
ご飯を食べて学校へ。朝の稽古で汗をかく、いつもの朝。
眠たい授業。ぼんやり受ける数学は脳に酸素を送っても理解に苦労する。


「でかいあくびだなぁ」

隣の席の男子がクスクスと笑う。

お昼休みは寧音とご飯を食べて。
勉強して、掃除して、部活して……いつもと変わらない月曜日。

ただ、いつもと違うのは放課後の部活の後。忘れ物を取りに戻った教室で莉華を呼び止めたわたしの決意だった。


朝から莉華のことを考えていた。
話しかけよう、話しかけよう。でも、なんて話しかけよう?
話しかけよう話しかけよう。でも、ハナシカケタクナイ……

頭の中を思考がぐるぐるしているうちに、気づくと6限目のチャイムが鳴っていた。
ひざのうえにカバンを置き机の中の雑誌や英語の教科書を入れた。

ふと、ドアのところを見ると商業科の女子と戯れている莉華が見える。
今日はもう莉華と話す機会はないな……
少し、なぜかホッとしながら部室へ向かった。



稽古が終わり、みんなと帰ろうとした時。
宿題のプリントを教室に置いてきてしまったことに気がついて一人で校舎へ向かった。
部活で疲れた体には階段の一段一段が重く感じる。

「は~、無いじゃん」

ストンッ……と椅子に座り机にもたれた。
少し切れた息の音が静かな教室ではよく聞こえる。

黒板のすみの小さな落書き。曇ったような空を見せる窓。天井の波のような模様は規則的。
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