空高く、舞い上がれっ。
ガラッとドアの開く音にわたしが目を覚ましたのは、時計の針がどれくらい進んでからだったか。

まさかいるとは思わなかった、というような顔でわたしを見る莉華。それからすぐに目をそらし、教室から出ていこうとドアに手をかける。

「……莉華っ‼」

返事はなく、ただ振り向く莉華。
少し間をあけて、何?と、口を開く。

「今、暇?時間ある……?」

「いや、ナイから」

冷めた言い方が怖い。
目をあわせない莉華。ドアにかけていた手を外した莉華のもとへ駆け寄る。

「逃げないでよ」

莉華の腕をつかむ。

「ちょ、痛いからっ、わかったから……」

離してよ‼

痛がっていた、というよりあせっていたようにも見えた莉華の手を離すと、わたしから離れて自分の席へ向かう。

「で、……何?」

机の中を探りながら莉華が聞く。

「え……?」

「いや、え、じゃなくてさぁー。何?早く言ってよ」
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