空高く、舞い上がれっ。
少し、気が引いてしまったわたしに莉華はどんどん攻めてくる。

「あたし、見たよ」

「……何を?」

莉華は冷めた目をしてわたしを見る。

「スキー教室の最後の夜」

「……っ‼」

一層、冷たい睨みを向ける莉華は心の底から怖かった。

「歩舞が部屋から出て行った後、なかなか帰ってこないから心配になって様子見に出たんだよ」

寧音ちゃんと合流する~とか、うまいもんだね。と、苦笑いしている。

……悔しかった。でも、反論はできない。だって……

「あたしがピカチャン好きなの知ってて近づいたんでしょ?」

莉華は知らないから。
わたしが前から輝空くんと仲がよかったことを。
スキー教室の夜に輝空くんと会ったのは寧音と尊が計っていたにしても、わたしからしたら偶然であったことも。
わたしも輝空くんが好きだったということも……

「何も言い返さないってことは本当にそうなんだ」

何も知らない莉華にとってわたしは裏切り者。
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