空高く、舞い上がれっ。
「ねぇねぇ、さっきのなんだったの?」

廊下のロッカーに教科書をしまっているわたしを、寧音と尊が見下ろしている。
さっきのって?と聞く尊は、隣のクラスだったのでわたしの失態を知らない。

寧音は笑いながら説明した。
ダサッ、と口を押さえて尊が笑うので、足にひと蹴り食らわすとスネを押さえて寧音の後ろへ逃げた。

「まったくー‼歩舞、委員長なんだからしっかりしなきゃ」

「ちょ、わたしを委員長に推薦したの誰よ‼」

ヒュ~ヒュ~♪と口で言いながらわざとらしい口笛でしらを切るので、寧音がゴメンナサイを言うまでくすぐった。


先日の役員決めのホームルーム……
委員長立候補が出てこないので推薦を出して多数決、という方法をとると寧音がわたしを指名して、わたしは委員長になってしまった。
購買委員を希望していたのに……

「で、何を没収されたのぉー?」

もしかして、ポエム?と、自分で言っておきながらブッと吹き出し笑いをする寧音。
わたしは……顔がカァッ、と赤くなる。

「ち、違うよ‼ちょっ、ちょっと行ってくるから」

わたしは二人を残して職員室へ向かった。
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