空高く、舞い上がれっ。
わたしのほしかった言葉。背中を押してくれる強さがバネになる。

わたしには無理、なんて弱音を出して勝つより勝つ気持ちで勝負して負ける方が先へのびる。
剣道も野球もそれは一緒。負けて悔しくない人なんていない。
わたしと輝空くんの歩くペースは一緒なんだね。

「あ、そうだ‼」

教室の前でわたしが立ち止まると、輝空くんはきょとんとしている。

「わたしが関東大会行けたら何かおごって♪」

「は?俺にメリットないじゃん」

「じゃあ輝空くんは甲子園行けたら~なんでも言うこと聞いてあげるよ‼行けなかったら逆ね‼」

「お前っ、確率が違うだろ‼こっちは県内で一校なんだぞ」

そう言いながらも輝空くんは笑う。

「よーし、じゃあお前が行けなかったら言うこと聞いてもらうからな?」

輝空くんはわたしの前に小指を出してきた。少しドキッとしながらわたしも小指を出す。

指切り、約束。
二人だけの繋がりを持つことが嬉しくて大切にしようと思った。

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