記 憶
「衣音くん、混乱してるだろうしさ。あたしがここに居ても、なんもしてあげれないし」
椅子から立ち上がり、ドアに向かうナオ。
かけたい言葉が、自分の中には見つかってるのに…。
喉につまって出てこない…。
「………友達なんかじゃ、ないんだよ…」
「…ナオ?」
ポツリと呟いたナオ。
でも俺には、その呟きが届かなかった…。
「また来るね!今度は他の友達も連れて来るから!」
「うん…」
「じゃーね、衣音くんっ」
笑顔を見せたナオ。
…錯覚なのかな?
ナオの笑顔に、寂しさを感じたんだ…。