【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
「でもなんで名前…………」


「君のお母さん、彩音奏子さんは有名なピアニストだからね。音楽家の中で知らない人はいないと思うよ」



そりゃそうだ


お母さんは小さい頃にはもうオーケストラと共演するような腕前だった


私なんか全然叶わない


何年経ったって叶わないと思う



「奏子さんとは親しくてね。君のことも教えてもらったんだ」


「親しいってお母さんと共演でもしたことあるの?」


「少しだけね」


「そうなんだ」


「ねぇ、詩乃って呼んでもいい?」


「いいよ」


「じゃあ、僕のことも律でいいよ」
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