【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
「塩分が入ってないから、味違うかなと思ったけどそうでもないね」


「じゃあ、これが唐揚げ?」


「あんまり食べたことなかった?」


「うん。小さい頃から食事制限があったから」


「そっか。じゃあ、いろんなものが食べられるように早く良くしなくちゃね」



詩乃にあのことは言っていない


知ってしまったら、悲しませてしまうから、あえて言わなかった



「で、コンサートでする曲って?」


「昨日、詩乃が弾いてた曲」


「クライスラーの愛の悲しみ?」


「そう。昨日も言ったけど、その曲が好きなんだ」


「私もあの曲が好き。曲名は嫌だけど、あの綺麗な曲想がとっても好き」


「そうなんだ」


「ねぇ、律は他に好きな曲とかないの?例えばピアノの曲とかさ」
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