【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
「…………ねぇ、詩乃」


「な………何?」


「詩乃はプロになる気はない?」


「…………急にどうしたの?」



ずっとこれを言いたかった


詩乃をプロの世界に引き連れて、ずっと一緒にやっていきたい


最近は体も安定してるから、そんなすぐに危ないことになるってことはないと思う



「詩乃と一緒にプロの世界でやっていきたい。ずっとそう思ってたんだ。詩乃が良かったらだけど」


「でも私はもうプロを目指せない。遅いよ。それだけの才能もないし、ましてや律についていくなんて…………」


「僕は詩乃の才能はすごいと思った。これならプロでもやっていける。いや、世界に認めてもらえると思う」


「そんなことないよ。そんなこと絶対ないし、プロになれるのも怪しいし…………」


「おそらくこのコンサートを成し遂げたら、詩乃は認めてもらえると思う」


「!」


「詩乃にプロになる気が少しでもあるんだったら、一緒にやっていきたい。そして……」


「?」
< 38 / 91 >

この作品をシェア

pagetop