【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
詩乃 side



「…………そういうことよ」


「じゃあ、律とは昔に会って…………」


「無理もないわ。まだ7歳だったとはいえ、お父さんがいなくなってことぐらいはわかったんでしょう。それからあなたはどんどん暗くなっていったわ」


「……………」



お父さんは交通事故だけど、悲しい亡くなり方をしたんだ…………



「決して誰も悪くないの。こんな不幸なことが起きたのは、仕方がなかったのよ」


「仕方がなかったって、じゃあその運転手の人が悪いんじゃないの?」


「その運転手の人は、その後亡くなったわ」


「え………?」


「本当に大きな事故だったからね。ぶつかった衝撃で、運転手の人は運転席から投げ飛ばされて、即死だったそうよ」



うそ…………



「だから私は誰も恨んでいない。この出来事は、きっと始めから決まっていたのよ」


「…………」
< 52 / 91 >

この作品をシェア

pagetop