【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
「律…………」


「もし見つかったところで、無駄だと思いませんか?僕じゃなく、他のもっと生きられる人を優先してあげて欲しい。そう思ったんです」


「律、決して無駄にはならないわ。それに寿命は可能性の話よ。そこまで気にしなくてもいいのよ」


「それだけじゃありません。何より奏子さんや詩乃にまで迷惑がかかってしまう」



それは僕がずっと思っていたこと


奏子さんと詩乃が大変な思いをするぐらいなら、一緒にいなければいい


そう思った



「ですから、奏子さん。僕のことは捨ててください」


「……………律を捨てるというのなら、詩乃も捨てます」


「!」


「捨てるというより、私が捨てられると言ったほうが正しいかしら」


「……………」


「詩乃はあなたは捨てられたとわかったら、一生恨むわ。それは母親である私も同じよ。詩乃はそれぐらいあなたのことが大好きなのよ。大切で仕方がないの」


「………………」


「それは私だって同じよ。律のことが大切で大好きなのよ。たまに自分の子だと思っちゃう時があるぐらい。けど、それだと詩乃と結ばれないからね」
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