【完】Crescendo 〜恋の大きさ〜
パチパチ…………


えっ?


拍手がした方へ見ると…………


男の子が立っていた



「すごいね。あんな綺麗な音を出せるなんて」



その男の子は、誰もが息を呑むような顔立ちだった



「愛の悲しみ。イ短調、4分の3拍子。1905年、クライスラーによって作られた曲。愛の喜びと対になる曲。それと同時に美しきロスマリンを加えた3部作、ウィーン古典舞曲集とされている」


「……………」



その子は、愛の悲しみについて言った


彼が言ったことは、全部本当のこと


どうしてそんなことを知っているの?


私は疑問に思った



「もう一回弾いて。僕も合わせるから」



そう言って、近くにあったヴァイオリンを手に持った
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