通学電車
通学電車
いつもの駅から、いつものように地下鉄に乗って、いつものように混雑した車内なのに。

いつもと違うのは、目の前に、昨日フラれた相手――織田君がいること。




何で今日に限って……!




「あんたのことあんまり知らないし」

放課後、校舎裏に呼び出して告白した結果、彼に言われた言葉。

そっけないってもんじゃないぐらいクールな返答に、私も「そうだよね、ごめんね、忘れて!」と引きつりながら逃げ出してしまった。

2年生で同じクラスになって3ヶ月経つのに、名前すらも覚えてもらえてなさそうで。
もうすぐ夏休みだから、勇気を出して告白したんだけど……結果は撃沈。

昨夜は散々泣いたから、目も腫れてるし、いちばん顔を合わせたくない相手だったのに、何ということだ。
会いたかった時は会えなかったのに、会いたくないときに限ってこれだもん。


やばい。
やばいけど混みすぎて逃げられない。
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