通学電車
「……次だな」

「うん……」


もうこれ以上は見られず、おもむろに真っ暗な窓に視線を移す。


すると、ガラスに映るのは、クールな印象しかなかったのに、少し落ち着かないようなそぶりを見せている彼。


ガラス越しに目が合った。


「……何見てんの」

「織田君こそ……」


彼がしゃべると、吐息が掛かる。
ドキドキが速くなって、触れ合っている場所が熱くなって。

彼がふいっと顔を逸らした。


「……照れる。俺、今すげー顔してそう」


そう言った彼の横顔は、桜色の頬。
初めて見る彼の表情に、私は思わず見入ってしまった。
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