月の瞳を持つ少女
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ある街のある路地裏
蒸し暑い7月の夜に黒いパーカーを着た少女が歩いていた
フードを深くかぶる少女は傍から見れば性別は全くもってわからないだろう
誰もいない路地裏が夜の深さを物語るが、少し離れたところではネオンの光や人のお酒の香る声が混ざりあっていた
しかし、少女はそんなものは聞こえていないかのようにただ一定のリズムで歩く
「いっいやッ!やめて!」
「クックッすぐによくなるからよぉ」
「おい、あばれんじゃねぇ」
少女にとってはそんな悲痛な叫びさえも、そこら辺のネオンやお酒と同じようなもののようだ