月の瞳を持つ少女
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回想〜矢島 立美 (小3)〜
それは、ひどい雨が降る日だった
母子家庭の俺ん家
少しでもかあさんに楽をさせてあげたくて、家事の手伝いくらいは自主的にやっていた
だから、今日の夕飯の食材を買いに商店街まで来ていた
赤い長靴がぴちゃぴちゃと雨を蹴飛ばす
「おじちゃん!ハンバーグのお肉、200gちょーだい!」
「あいよ!たっちゃん!今日もえらいねぇ!」
「そんなことないよ!かあさんのほうがずーっと忙しいから!
俺、学校の宿題終わって暇だからさ!」
「そーかいそーかい!じゃあ、今日はおまけしといてやるよ!」
そう言っておじちゃんはお肉を400gも入れてくれた
「おじちゃん、入れすぎだよー」
「なんだ?たっちゃん!食わねぇとでかくなれねぇぞ」
ガハガハ笑うおじちゃんに俺は苦笑いしながらペコッと頭を下げた