月の瞳を持つ少女





俺は女の子に近づく






女の子を傘の中に入れる







「おい、風引くぞ」







女の子は何も応えない






「おい」






「月が、」







月?






「月が、泣いてるの」



女の子は目を閉じたままだ







「ほら、こんなに、…………哀しそう。」







そこで、ようやく女の子のまつ毛がふるえる









彼女の瞳が俺の姿をとらえた









「ッ」




俺の息を呑む音が彼女には聞こえないだろう







俺は、彼女の瞳に……











月のような瞳に惹き込まれる






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